RUSSIAN POLITICS / UENO'S SEMINAR
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ロシアにおける無届集会・デモに対する罰金の引き上げ
2012年6月8日「『ロシア連邦行政法違反についてのロシア連邦法典』および『会合、集会、集団示威行動、集団行進、ピケッティングについてのロシア連邦法』の修正についての連邦法」が制定されました。

重要なポイントだけを訳出しました。

まず「ロシア連邦行政法違反についてのロシア連邦法典」第20.2条が以下のように修正されました。取り消し線部分が削除され、新たに青字部分の第1〜7項が補足されました。

第20.2条 会合・集会・集団示威行動・集団行進・ピケッティングの組織または実施について定められた手続に対する違反

第1項 会合・集会・集団示威行動・集団行進・ピケッティングの組織について定められた手続に対する違反は、組織者に対して1,000ルーブル以上2,000ルーブル以下の行政的罰金の賦課を伴う。

第2項 会合・集会・集団示威行動・集団行進・ピケッティングの実施について定められた手続に対する違反は、組織者に対しては1,000ルーブル以上2,000ルーブル以下の、参加者に対しては500ルーブル以上1,000ルーブル以下の行政的罰金の賦課を伴う。

第3項 核施設、放射線源、核物質または放射性物質の貯蔵所の至近距離内において、許可なしにおこなわれる会合・集会・集団示威行動・集団行進・ピケッティングの組織または実施、ならびにそうした活動に対する積極的な参加は、それが上記施設職員による職務の執行を困難にさせ、住民および環境の安全の脅威となる場合には、1,000ルーブル以上2,000ルーブル以下の行政的罰金の賦課、または15昼夜以下の行政的拘留を伴う。


第1項 公開行事の組織者による、会合・集会・集団示威行動・集団行進・ピケッティングの組織または実施について定められた手続に対する違反は、本条第2〜4項の定める場合を除いては、一般市民に対しては10,000ルーブル以上20,000ルーブル以下の行政的罰金の賦課または40時間以下の義務労働を、公務員に対しては15,000ルーブル以上30,000ルーブル以下の、法人に対しては50,000ルーブル以上100,000ルーブル以下の行政的罰金の賦課を、伴う。

第2項 公開行事の実施の通知を定められた手続で提出することなく、公開行事を組織し、または実施することは、本条第7項の定める場合を除いては、一般市民に対しては20,000ルーブル以上30,000ルーブル以下の行政的罰金の賦課または50時間以下の義務労働を、公務員に対しては20,000ルーブル以上40,000ルーブル以下の、法人に対しては70,000ルーブル以上200,000ルーブル以下の行政的罰金の賦課を、伴う。

第3項 歩行者もしくは交通手段の通行を妨害する、または領域(施設)の収容基準を超過する結果を招く本条第1項および第2項の定める行為(無為)は、一般市民に対しては30,000ルーブル以上50,000ルーブル以下の行政的罰金の賦課または100時間以下の義務労働を、公務員に対しては50,000ルーブル以上100,000ルーブル以下の、法人に対しては200,000ルーブル以上500,000ルーブル以下の行政的罰金の賦課を、伴う。

第4項 人の健康または財産に被害を与える結果を招く本条第1項および第2項の定める行為(無為)は、それらの行為(無為)が刑事罰に値する行為を含まない場合、一般市民に対しては100,000ルーブル以上300,000ルーブル以下の行政的罰金の賦課または200時間以下の義務労働を、公務員に対しては200,000ルーブル以上600,000ルーブル以下の、法人に対しては400,000ルーブル以上1,000,000ルーブル以下の行政的罰金の賦課を、伴う。 

第5項 公開行事の参加者による、会合・集会・集団示威行動・集団行進・ピケッティングの実施について定められた手続に対する違反は、本条第6項の定める場合を除いては、10,000ルーブル以上20,000ルーブル以下の行政的罰金の賦課または40時間以下の義務労働を伴う。

第6項 人の健康または財産に被害を与える結果を招く本条第5項の定める行為(無為)は、それらの行為(無為)が刑事罰に値する行為を含まない場合、150,000ルーブル以上300,000ルーブル以下の行政的罰金の賦課または200時間以下の義務労働を伴う。 

第7項 核施設、放射線源、核物質および放射性物質の貯蔵所の至近距離内において、許可なしにおこなわれる会合・集会・集団示威行動・集団行進・ピケッティングの組織または実施、ならびにそうした活動に対する積極的な参加は、それが上記施設、放射線源、貯蔵所の職員による職務の執行を困難にさせ、住民および環境の安全の脅威となる場合には、50,000ルーブル以上300,000ルーブル以下の行政的罰金の賦課、または15昼夜以下の行政的拘留を、公務員に対しては200,000ルーブル以上600,000ルーブル以下の、法人に対しては500,000ルーブル以上1,000,000ルーブル以下の行政的罰金の賦課を、伴う。


次いで、「ロシア連邦行政法違反についてのロシア連邦法典」第20.18条が以下のように修正されました。取り消し線部分が削除され、青字部分が補足されました。

第20.18条 交通妨害
交通の組織的妨害、または同様の交通の妨害への積極的参加は、2,000ルーブル以上2,500ルーブル以下の行政的罰金の賦課、または15昼夜以下の行政的拘留一般市民に対しては50,000ルーブル以上100,000ルーブル以下の、公務員に対しては150,000ルーブル以上300,000ルーブルの、法人に対しては200,000ルーブル以上500,000ルーブルの、行政的罰金の賦課を伴う。


これらの修正は、要するに、言われているように罰金の引き上げですが、これまでの500ルーブルとか1,000ルーブルでは、罰金としては安すぎて意味がなかったのは事実でしょう。

今回の、一般市民の組織者の場合は、通常の違反の場合、10,000〜20,000ルーブル(約3〜6万円)、無許可集会等の場合は30,000ルーブル(約9万円)という罰金の金額は、東京都の「集会、集団行進及び集団示威運動に関する条例」が「主催者、指導者又は煽動者は、これを一年以下の懲役若しくは禁錮又は三十万円以下の罰金」としているので、妥当なのではないかと思います。

交通妨害の場合は50,000〜100,000ルーブル(約15〜30万円)、人の健康または財産に被害を与えるような場合や、核施設の近くで行うことによって当該施設職員の職務遂行の妨げになったり住民および環境の安全の脅威となる場合は100,000〜300,000ルーブル(30〜90万円)ですが、まあ、これは危険行為なので仕方のないところかも知れません。


他方、「会合、集会、集団示威行動、集団行進、ピケッティングについてのロシア連邦法」の修正で気になるところは、第5条第4項の(11)で、「公開行事の組織者は、人物確認を困難にするためにとくに用いられている覆面・顔面遮蔽手段・その他の物体を用いないことを含めて、自身の顔を隠さないよう公開行事の参加者に要請しなければならない」という規定の追加です。かつて日本でも学生運動が盛んだった頃は、デモ参加者は、顔面をタオル等で覆って、個人を特定できないようにしていました。それをさせないようにしようと言うことですが、他方でムスリムの女性等で顔を覆う宗教的文化的伝統を認めないということになります。まあ、どこかの国のように公共施設ではすべて顔を覆い隠すのは禁止というよりはましなのかも知れませんが。
| about Russia | 17:52 | comments(2) | - |
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コメント
見識が他の個人サイトとは大きく違いますね
メディアでも大きく報じられましたが、どのような感想を持ちましたでしょうか?お聞かせもらえたら嬉しいです
| ロシアンブルー | 2012/10/31 3:34 AM |
コメントありがとうございます。

「見識が他の個人サイトとは大きく違いますね」とのことですが、この6月12日のブログは、ほとんど法律の改正部分の翻訳と、それに対する評価なので、「見識」というほどのものではありません。

むしろ、この時期、Twitterのほうで、私自身の意見を表明していますので、それをここに再録しておきますね。

◆無許可デモの参加者に対する罰金を引き上げることが、「集会の自由」や「言論の自由」に対する抑圧になるのかどうか、私にはよくわからない。重要なのは、集会やデモが許可されないということだと思うが、そこのところはどうなのかな。(6月8日)

◆集会やデモが原則として許可されているのか、どのような場合に許可されていないのか、そういうことが問題だということ。日本でも、皇居前広場や新宿西口地下広場(実際には地下通路)では集会は許可されないわけで、いつでもどこでも集会は許可されるわけではない。街頭デモも交通との兼ね合いがある。(6月9日)

◆無許可集会・デモに対する罰金引き上げに関するネタの続きだが、法律的には、この場合の罰金の引き上げは、無許可集会・デモの実施に対する抑制効果を強化することにはなるが、集会・デモの実施の権利の抑制や制限にはならない。繰り返すが、重要なことは集会・デモの許可・不許可の基準の問題だ。(6月10日)

◆集会・デモが許可されにくくなる(集会・デモが許可されない地域・時間帯が拡大される)ということ、許可・不許可の判断が恣意的になされるということ、こういったことがあれば、それは明らかに集会の権利の制限の拡大ということになり、批判すべきことだと考えられる。(6月10日)

◆(「彼の国ですと得意の『運用』で悪い方にいかないかと懸念します。逆に、そういう方向にいかないのであればそこは大きな政治・行政上の進歩と言えようかと思います」との意見に対して)確かにそうですが、私が言いたいことは、不許可集会・デモが実施されているのは集会・デモがモスクワ市内では許可されないからなのか、そうだとしたらなぜ許可されないのかを報道すべきだということです。(6月10日)

以上のように、私の批判は、主として、客観的事実を報じない日本の報道内容に向けられたものです。

客観的事実とは以下のようなことです。

集会・デモの許認可はモスクワ市がおこなっていると思いますので、記者は、モスクワ市の担当者に対して、例えば、2012年1月から6月までの6ヵ月間におけるモスクワ市内での集会およびデモの実施申請の件数、許可となった件数、不許可となった件数、不許可となった場合の理由などを問い合わせ、他方で、内務省モスクワ市内務局に対して、同期間の不許可集会・デモの件数を問い合わせ、その結果を報道すべきではないかと思います。こうした問い合わせに対して、当局が応じなかったとすれば、そのこと自体を報道すべきではないかと思います。

ロシア国民や私たち研究者が知りたいことは、そのような事実ではないかと思います。例えば、私が、皇居前広場で集会を行いたいと100万回申請しても東京都は許可しないはずです。だからといって、東京都庁は集会やデモを制限している非民主的な行政機関だと言えるでしょうか? また私が、許可の下りないまま皇居前広場で集会を開いたら、私は逮捕されると思います。だからといって、私を逮捕した警視庁および日本政府が、そのことで非民主的だと非難されるべきでしょうか? 非難されるべきは、皇居前で不許可集会を実行した私のほうです。

私はプーチン政権を擁護しているわけではありません。

例えば、私は、この法律に限っても、このブログの最後で、「公開行事の組織者は、人物確認を困難にするためにとくに用いられている覆面・顔面遮蔽手段・その他の物体を用いないことを含めて、自身の顔を隠さないよう公開行事の参加者に要請しなければならない」という規定について、ムスリムの女性が顔を覆うなどの宗教的文化的伝統を認めないことになることを危惧しています。ただし、私の批判が控えめなのは、この法律のこの箇所が、組織者に対して参加者に要請することを義務づけているだけであって、参加者が顔を覆うことそれ自体を直接的に禁止しているからではないからです。この法律の箇所が、このように間接的な規定になっているのは、やはりムスリム等の宗教的・文化的伝統に対する配慮があるためであると私は推測しています。

私の「見識」について、ご理解いただけたら幸いです。
| Ueno | 2012/10/31 11:07 AM |
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