RUSSIAN POLITICS / UENO'S SEMINAR
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サハリン州知事の逮捕に関連した法制度についての覚書
最近、新聞で、サハリン州知事が逮捕されたという記事をちらっと見た気がしていましたが、サハリンに派遣されている記者さんからそれに関連した質問がメールで寄せられてきました。お返事を差し上げるために、それなりに調べたりもしたので、自分の覚えとしても必要なので、返信の質疑応答の部分だけ、転載することにしました。

|了を決める際に「選挙するしない」「大統領が任命するしない」はどのような法令に基づくのでしょうか?

ロシア連邦は連邦制を採用していますので、連邦構成主体首長の決め方については、「ロシア連邦の連邦構成主体の立法(代議制)国家権力機関の組織の一般原則についての連邦法」(1)および「ロシア連邦国民の選挙権および国民投票参加権の基本的保障についてのロシア連邦法」(2)で基本原則を定め、その基本原則の枠内で、各連邦構成主体が、連邦構成主体の憲法(または憲章)および法律によって独自に定めることができるようになっています。

さて、連邦構成主体首長の選出の原則については、「ロシア連邦の連邦構成主体の立法(代議制)国家権力機関の組織の一般原則についての連邦法」第18条第3項第1段が、「ロシア連邦の連邦構成主体の最高公職者(ロシア連邦の連邦構成主体の最高執行国家権力機関の長)は、ロシア連邦の当該連邦構成主体の領域内に居住し、連邦法に従って秘密投票による普通・平等・直接選挙権に基づく選挙権を有する、ロシア連邦国民により選挙される」と規定して、連邦構成主体首長が住民による直接選挙により選出されること、いわゆる公選制を定めています。

しかし、同法第18条第3.2項第1段は、「ロシア連邦の連邦構成主体の憲法(憲章)および法律により、ロシア連邦の連邦構成主体の最高公職者(ロシア連邦の連邦構成主体の最高執行国家権力機関の長)が、本項の規定に従って、ロシア連邦の連邦構成主体の立法(代議制)国家権力機関の議員により選出されることを定めることができる」と規定し、連邦構成主体首長が、住民による直接選挙、いわゆる公選ではなく、当該連邦構成主体の議会によって選出することができると定めています。

この場合、国家会議(下院)および当該連邦構成主体議会に議席を有する政党が候補者リストを大統領に提出し、その中から大統領が候補者を選定して、当該連邦構成主体議会に提案されるという手続きが取られます。

これが、いわゆる大統領による連邦構成主体首長の任命制と言われるものですが、実際には、単純に大統領が任命するのではなく、当該連邦構成主体議会に議席を有する政党が候補者をノミネートし、その中から大統領が最も適当だと思われる候補者を選定し、当該連邦構成主体が選出する方式ですので、大統領が地元の意向を無視して好き勝手に連邦構成主体首長を任命できるわけではありません。

このように、「ロシア連邦の連邦構成主体の立法(代議制)国家権力機関の組織の一般原則についての連邦法」は、第18条第3項で、連邦構成主体首長の公選制を定めていますが、第18条3.2項で、連邦構成主体の憲法(憲章)および法律に定めがある場合には公選によらず連邦構成主体議会による選出ができると規定しています。

そこで、サハリン州の場合がどうなっているのかを知るためには、「サハリン州憲章」(3)および「サハリン州知事選挙についてのサハリン州法」(4)を見る必要があります。

「サハリン州憲章」第25条第2項は、州知事に選ばれることのできる住民の要件について規定していますが、「連邦法、サハリン州憲章、サハリン州法によって定められている手続きに従って」選ばれるとあるだけで、具体的な選出手続を定めていません。

そこで、「サハリン州知事選挙についてのサハリン州法」を見てみると、その第1条第1項で、「サハリン州知事は、秘密投票による普通・平等・直接選挙権に基づいてロシア連邦国民によって選出される」と規定しており、サハリン州知事は公選制であることがわかります。

注(1) http://base.consultant.ru/cons/cgi/online.cgi?req=doc;base=LAW;n=174904
注(2) http://base.consultant.ru/cons/cgi/online.cgi?req=doc;base=LAW;n=174896
注(3) http://www.dumasakhalin.ru/documents/region-regulations
注(4) http://doc.dumasakhalin.ru/document926.html

当初任期4年だったのが、5年になったのは最近ですか?

最近ではありません。少なくとも2009年10月26日にはサハリン州知事の任期が5年になっていることが「サハリン州憲章」を見ることで確認できます。「サハリン州憲章」第25条第3項は、「サハリン州知事の任期は5年である」と規定しています。この第25条のテキストは2009年10月26日付サハリン州法による修正に基づくテキストであることが同憲章に書かれています。

ところで、前述の「ロシア連邦の連邦構成主体の立法(代議制)国家権力機関の組織の一般原則についての連邦法」は、連邦構成主体首長の任期については、その第5項で、「ロシア連邦の連邦構成主体の最高公職者(ロシア連邦の連邦構成主体最高執行国家権力機関の長)は、5年を超えない任期で選出され、連続して2期を超えて上記の職に選出されることはできない。ロシア連邦の連邦構成主体の最高公職者(ロシア連邦の連邦構成主体最高執行国家権力機関の長)の任期は、ロシア連邦の連邦構成主体の憲法(憲章)によって定められ、その就任の日から数えられる」と規定していますので、5年を上限として、連邦構成主体が独自に定めることができることになっています。

それゆえ、サハリン州知事の任期が4年だったこともあるわけですが、いつまで4年だったのかは、現時点では調べられませんでした。ただし、「サハリン州憲章」の修正の履歴を遡っていくと、たまたま2005年10月14日の段階では4年の任期であることがわかりました(5)。

したがって、サハリン州知事の任期が4年から5年に変わったのは、少なくとも2005年10月14日から2009年10月26日までのあいだであるということは確かです。

もっとも、2004年12月11日付の「ロシア連邦の連邦構成主体の立法(代議制)国家権力機関の組織の一般原則についての連邦法」の修正によって、連邦構成主体首長の事実上の任命制が導入され、その制度は、2012年5月2日付の「ロシア連邦の連邦構成主体の立法(代議制)国家権力機関の組織の一般原則についての連邦法」の修正による公選制の復活まで続きますので、この間、連邦構成主体首長の任期は実際のところ意味はなかったとも言えます。

注(5) http://vff-s.narod.ru/sb/b6/270_00.html

A挙を経ても大統領の任命が必要なのでしょうか?(昨年統一地方選で沿海地方知事はこの流れでした)

前述の「ロシア連邦の連邦構成主体の立法(代議制)国家権力機関の組織の一般原則についての連邦法」第18条第3項,よび同法第18条第3.2項,竜定を見る限り、国民による直接選挙か、大統領の推薦する候補者を連邦構成主体議会が選出するか、どちらかであると考えられます。プリモーリエ辺区の事例については、辺区の憲章および法律等を調べてみなければわかりません。

し沙事件に問われる際、どのタイミングで知事を失職することが多いのか?

連邦構成主体首長の任期満了前の辞職については、前述の「ロシア連邦の連邦構成主体の立法(代議制)国家権力機関の組織の一般原則についての連邦法」第19条第1項第7号および「サハリン州憲章」第28条第2項第7号には、「裁判所の有罪判決の法的効力が連邦構成主体首長に対して及ぶとき」と規定されていますから、有罪判決の確定により、失職すると考えられます。

ただし、同法第19条第1項第2号および同憲章第28条第2項第2号は、連邦構成主体議会による不信任に関連して「大統領によって免職されたとき」、同法第19条第1項第4号および同憲章第28条第2項第4号には、「不適切な職務執行」、法律違反、汚職等により、「大統領の信頼が失われることにより免職されたとき」、などの規定がありますから、議会の不信任決議の採択や「大統領の信頼が失われた」と判断するのに妥当な事由があれば、有罪判決の確定を待たずに失職する可能性があると考えられます。

ズ2鵑里茲Δ妨戎γ了が汚職事件ですぐに拘束・逮捕される事例は過去にあったのでしょうか?

正確に記憶していませんが、あったと思います。

ロシアでは、大統領および国会議員は、任期の全期間にわたり不逮捕特権があります(ロシア連邦憲法第91条、第98条)が、連邦構成主体首長には不逮捕特権はありません。したがって、汚職等の容疑がある場合、証拠隠滅のおそれがあると見なされれば、すぐに逮捕・拘留されることになるでしょう。

訴訟手続は、警察(ロシアの場合は、内務省指揮下の警察だけでなく、保安庁、税務警察等も捜査権や逮捕権があるようです)による逮捕・拘留がまずあり、その後に起訴→検察による取り調べ→公判→判決という手順ですすめられます。他人に危害を及ぼすおそれがない、証拠隠滅や逃亡のおそれがない、と裁判所が判断した場合には、逮捕後の拘留期限の延長が認められず、釈放されることになります。

以上です。
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